ビジョンを描き、自由と規律で切り拓く―清木学部長、学位授与式での餞の言葉
2026年3月12日、武蔵野大学データサイエンス学部および大学院データサイエンス研究科の学位授与式が執り行われました。学部長・清木康教授は、学部生・大学院生それぞれに向けて、長年にわたり卒業生に語り続けてきた二つの核心的なメッセージを贈りました。以下は、その挨拶の全文をもとに構成した記録です。
写真: 武蔵野大学データサイエンス学部卒業式にて式辞をする清木康データサイエンス学部長.
データサイエンス学部 学位授与式
ビジョン・ミッション・パッション
学位記をお渡しする前に、最後に少しだけ話をさせてください。レクチャーみたいになってしまうかもしれませんが、これはずっと私が慶應大学の教師として、またここ武蔵野大学の教師として、たくさんの卒業生に言い続けてきた言葉です。今日ここにいる石橋君も、もう何度も聞いてきた言葉だと思いますが(笑)、改めて皆さんへの最後のメッセージとして、どうか心に留めておいてほしいのです。
それは、「ビジョン・ミッション・パッション」、この三つです。この三つがそろってこそ、社会で活躍することができる。どれか一つでも欠ければ、それは難しくなります。
まずパッションについて言えば、皆さんのことは心配していません。データサイエンスがまだ黎明期にあるこの時代に、あえてデータサイエンスを学ぼうと選んで入ってきた。「データサイエンスで自分の道を切り拓く」という情熱を持って入ってきた皆さんは、最初から非常に高いパッションを備えている。ここはまず大丈夫です。
次にミッション。与えられた課題に真剣に取り組む力、これは皆さんのように一生懸命学んできた人たちには比較的こなしやすいものです。難しいミッションもたくさんありますが、このレベルの諸君には基本的にクリアできる力がある。
では、ビジョンはどうか。実は、日本社会でも最も不足していると言われているのが、このビジョンです。「こういうシステムを作ろう」「こういう社会を作ろう」「こういう環境を作ろう」「こういう世界を作ろう」―― そう空想することが、何より大切なのです。難しいことは分かっています。でも、まずその空想から始めてほしい。
ビジョンを常に持ちながら、自らの実力(ミッション)と生まれながらの情熱(パッション)を掛け合わせ、新しい時代をクリエイトしていく。それがデータサイエンスの学びを通じて私たちが大切にしてきた「未来創造」の本質です。今日からも、データサイエンスのことをいつも考えながら暮らしてください。
フリーダムとディスプリン
もう一つ、大切な言葉をお伝えします。「Freedom & Discipline(自由と規律)」です。
皆さんは自由が好きでしょう? 自由に発想したい、自由にいろいろやりたい。そのフリーダムこそが、人々のインセンティブになり、創造の源泉になる。自由に発想して、自由にビジョンを作ること ―― これが一番大事で、まず間違いありません。
ただし、フリーダムだけではなかなか成功しません。自分の中にきちんと規律(ディスプリン)を持つことが同時に大切です。どれだけ学ばなければならないか。常にどれだけ努力し続けなければならないか。自分自身でその基準を作り、自分自身で守る。このディスプリン、自分の中の規律を作ることが、フリーダムと並んで不可欠な柱です。
フリーダムだけでは成功しない。ディスプリンだけでは息が続かない。この二つを両輪として持ってほしい。
武蔵野大学の美しいキャンパス、覚えていますか? ビューティフルなキャンパス、ビューティフルな空間。この美しい場所で学んだことを誇りに、これからを歩んでください。このキャンパスは皆さんの学術の故郷です。いつでも帰ってきてください。相談があればいつでも来てください。生涯にわたって、このキャンパスを使ってください。本日は本当におめでとうございました。
大学院データサイエンス研究科 学位記授与式
自由と規律、そして論文審査が証明したもの
大学院の皆さんにも、先ほどと同じ言葉を贈ります。「Freedom & Discipline(自由と規律)」です。学部生に向けた言葉と同じですが、研究を積み重ねてきた皆さんには、この言葉がより深く響くはずです。
自由(フリーダム)が重要であることは言うまでもありません。研究とは本質的に自由な営みです。しかし、社会に価値を提供するためには、規律(ディスプリン)も不可欠です。研究者として、専門家として、この二つを備えることが、皆さんの専門分野での発展と社会への貢献につながります。今後も、データサイエンスをめぐる議論を続けていきましょう。
そして、一つ自信を持ってほしいことがあります。この研究科の論文審査は、非常にレベルが高い。全教員からの厳しい質問を受け、それを一つひとつ乗り越えて修了できた ―― これは、皆さんの知識と研究力の確かな証明です。心に留めておいてください。
皆さんが論文で培った定義・概念・手法は、すでに皆さん自身の知識です。それを自分の言葉で語り、さまざまな問題解決に応用していくこと。それがAI・データサイエンス研究者としての姿勢であり、今後の皆さんへの期待でもあります。
卒業は、終わりではない
最後に、一言だけ。
卒業は、終わりではありません。今日から死ぬまで、勉強を続けることが求められます。この世界で成長する唯一の道は学ぶことです。データサイエンスのことを常に考えながら生きる ―― それが、学術の世界に身を置いた者の基本的な姿勢であり、誇りでもあります。皆さん、本日は本当におめでとうございました。
学士・修士・博士課程を修了された皆さんのご活躍を、教職員一同、心よりお祈り申し上げます。おめでとうございました。
学士・修士・博士課程を修了された皆さんのご活躍を、教職員一同、心よりお祈り申し上げます。おめでとうございました。
武蔵野大学 データサイエンス学部 / 大学院データサイエンス研究科: https://web.ds.musashino-u.ac.jp/
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