武蔵野大学大学院生がIEEE IES 2025で国際発表、Best Paper Award受賞
武蔵野大学データサイエンス研究科(MUDS)の大学院生2名が、IEEE IES 2025において研究発表を行い、このうち修士課程2年の桐島涼斗君がBest Paper Awardを受賞いたしました。この成果は、2026年4月開設予定の国際データサイエンス学部(MIDS)への取り組みを進める中で、既存の大学院においても学生たちが国際的に活躍していることを示す素晴らしい成果です。
久保貴弘君(博士課程3年)の研究発表
久保君は、看護師の診断支援システム構築に向けた革新的な研究を発表しました。これまで個々の看護師の経験や思考に依存していた「Gordon's Functional Health Patterns」と「NANDA-I」という2つの看護フレームワーク間の関連付けを、データサイエンスの手法により「形式知化」することを目的としています。
具体的には、自然言語処理(NLP)技術を用いて、アセスメントの枠組みである「ゴードンのFHP」と診断分類「NANDA-I」を体系的にマッピングする手法を提案。SBERTによる意味理解モデルが、従来のキーワードベース手法よりも優れた性能を示すことを実証しました。
久保君は「学会では、特に本研究の評価手法に関して研究者との有意義な意見交換ができました。この経験を糧に、今後は実用的な看護診断支援システムの構築へと研究をさらに発展させていきたい」と今後の抱負を語っています。
桐島涼斗君(修士課程2年)のBest Paper Award受賞研究
Best Paper Awardを受賞した桐島君の研究は、「A Social Impact Calculation and Visualization Method for the Discontinuation of Public Transportation(公共交通機関の路線廃止に伴う社会的影響度計算・可視化手法)」というタイトルで発表されました。
この研究では、公共交通機関の路線廃止が地域社会に与える影響を計算し、将来的なリスクを可視化する革新的な手法を提案しています。GIS(地理情報システム)とオープンデータを活用し、鉄道駅やバス停の位置情報、人口分布、過去の廃止事例を組み合わせることで、交通事情や路線廃止による影響度の高いエリアを地図上に視覚化することに成功しました。
関西地方245自治体のデータを用いた実証実験により、高齢者人口の多い山間部で特に公共交通廃止の影響が深刻であることを可視化し、将来の交通施策立案や地域交通の持続可能性確保に向けた政策支援ツールとしての有効性を証明しました。
桐島君は受賞について「大変光栄に思います。この研究は大学院の授業課題を発展させたものであり、取り組み始めてからまだ日が浅かったため、このような評価をいただけたことに非常に驚きました」と感想を述べています。また、「準備や発表、そして先生方や現地の学生との交流を通じて、新しいことに挑戦することの大切さと面白さを改めて実感できました。ここで得た学びを、今後の修士論文や人生全体において活かしていきたい」と今後への意欲を示しています。
国際データサイエンス学部(MIDS)への展望
今回の成果は、武蔵野大学のデータサイエンス教育・研究の質の高さを国際的に示すものです。2026年4月開設予定の国際データサイエンス学部(MIDS)は、アジアAI研究所(AAII)とも連携しながら、このような優秀な研究者・実践者の育成をさらに加速させることを目指しています。
看護診断支援から地域交通政策まで、多様な社会課題にデータサイエンスの力でアプローチする両研究は、データサイエンスの社会実装の重要性を示しています。今後もMIDS、MUDS、AAIIが一体となって、このような国際的に評価される研究成果が継続的に生まれる環境づくりに取り組んでまいります。世界水準のデータサイエンス教育・研究を通じて、社会課題解決に貢献できる人材の育成を推進し、データサイエンスの力で世界をより良い場所にしていく使命を果たしてまいります。
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お問い合わせ: 武蔵野大学アジアAI研究所 〒135-8181 東京都江東区有明3-3-3 武蔵野大学 有明キャンパス 高橋雄介 准教授 yusuke@ds.musashino-u.ac.jp